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貸金業法21条各号は、正当な理由なく勤務先に連絡するなどの違法取立行為を類型化し、債務者の私生活上の平穏を保護しています(違法・悪質な取立てに注意!貸金業法21条による取立行為規制の概要)のページ参照。

また、貸金業法21条本文は、貸金業法21条各号の態様の取立てに当たらない場合でも、次のように定めて、貸金業者が社会通念上不相当な態様によって取立てを行うことを包括的に禁止しています。

貸金業法21条本文
貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を「威迫し、又は次に掲げる言動その他の「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」をしてはならない。



では、同条本文に規定された人を「威迫し」、「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」(21条本文が定める禁止行為)とは、どのような行動を指すのでしょうか。

貸金業法21条本文に関する自主規制規則

この点に関しては、日本貸金業協会が定めた自主規制規則が参考になります。

自主規制規則は、貸金業の適正化のため、貸金業協会が自主的に定めたルールです。

自主規制規則69条1項

<同規則69条1項に定める行為は、貸金業法21条本文で禁止される>
zyuuyou-m同規則69条1項は、貸金業法21条本文に関する指針を示した規則です。

同項は、後で述べる6つの行為等は、人を「威迫し」、又は「人の私生活もしくは業務の平穏を害する」おそれがあると述べるにとどまっていますが、それらの行為は、基本的には、貸金業法21条本文で禁止される行為に該当すると考えてかまいません。

また、自主規制規則は、これに規定された6つの行為以外は、人を「威迫し」、「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」に該当しない、と定めたものではありません。

自主規制規則に定められた行為以外でも、社会通念上不相当な態様によって取立てであれば、禁止行為に該当しえます。

<同規則69条1項に規定された6つの取り立て行為>
①大声をあげたり、乱暴な言葉を使うなど暴力的な態度をとること。
 威迫行為そのものです。

②多人数で訪問すること。
 同規則では、3人以上の訪問が「多人数」の訪問の例として挙げられています。

 多人数で取立てを行うことはそれ自体、恐怖感を与える行為ですし、私生活上の平穏も害されると考えられることから、自主規制の対象となっています。

③不適当な時期に取立ての行為を行うこと。
 この「不適当な時期」については、親族の冠婚葬祭時や、年末年始、債務者の入院時、罹災時等が挙げられています。

④債務整理を処理を代理人弁護士又は司法書士に委託等した後、債務者等に支払いを要求すること
 専門家に債務整理を依頼したにもかかわらず、支払いなどを要求する行為は、法21条9号でも禁止されていますが、法21条本文規定の行為にも該当すると考えられています。

⑤反復継続した取立て行為を行うこと。
 この反復継続した取り立て行為の例としては、次の二つが挙げられています。
・電話を用いた債務者等への連絡を、1 日に4 回以上行うこと。
・電子メールや文書を用いた連絡を、前回送付または送信から3 日以内
 
⑥親族または第三者に対し、支払いの要求をすること。
たとえば、親族等にあたかも返済義務があるような旨を伝え、或いは、親族等から支払いの申出があった際、親族等に支払義務が無い事を伝えない行為は自主規制の対象とされています。

自主規制規則69条2項

<自主規制による記録化>
また、取り立てが実際にどのように行われたのか客観的・結果的に分からないとなると、上記の様な自主規制は骨抜きになってしまいます。

そんな取り立てはしていない、と担当者が言い訳すればOKとなると、規制そのものの効果が担保出来ません。

そこで、自主規制規則69条2項は、 取立て行為を行うにあたり次の事項を記録・保存しなければならないと定めています。

①相手先( 債務者等、代理人弁護士、親族または第三者の別)
②日時、場所及び手法( 電話、訪問、文書、電子メールの別)
③担当者
④内容( 相手先との折衝内容、文書内容を含む。)

<債務者側でも記録化しよう>
なお、取り立ての態様が記録化されるのは、悪質な取り立ての防止に繋がりますので、債務者側からすれば歓迎すべきことです。

ただ、悪質な取り立てを受けた場合、その取り立ての記録が後になって開示されるのか、改ざんされないか、本当に記録化されているのか、等は不透明です。

貸金業者側の自主規制規則に基づけば、取り立ての態様が記録化されているはずだ、と油断してはいけません。

悪質取立から身を守るためにも、債務者側においても録音等の証拠化・記録化をしておくことが重要です。

貸金業法21条本文に違反する悪質な取り立てがなされた場合

悪質な取り立てが行われ、これに対し、何らの対策を取らないでいると、悪質取立てが繰り返される恐れがあります。

弁護士等と相談の上で対応策を決めるべきです。弁護士からの内容証明郵便の送付だけで悪質な取立が止まることもあります。

また、都道府県の所轄官庁や、業務の停止(貸金業法24条の6の4)や、登録の取り消し(貸金業法24条の6の5)等を求める等の対応策も考えられます。

加えて、刑事罰(貸金業法47の3の3号)を促すべく、警察に被害届を提出するなどの対応も考えられます。

全国規模の大手業者が、貸金業法21条本文に違反する取立を行うことはあまり考えられませんが、いわゆる中小のサラ金・街金の中には悪質な取り立てを行う者も少なくありません。

悪質取立てに対しては、弁護士等と相談し、債務整理と併せて適切な対応を取ってください(弁護士・司法書士の受任通知(介入通知)で借金の取立を止めるのページ参照) 

なお、本記事は正規の貸金業者の取り立てを想定した記事です。闇金の悪質な取り立てに対する対応については、サブサイトであるヤミ金@スケッチをご参照ください。