スポンサーリンク


個人再生手続において押さえておきたい最も基本的な知識の一つが「再生債権」に関する知識です。

再生債権という用語は、本サイトでも、たびたび使用している用語ですが、全記事で逐一解説することができないため、サイト内の他の記事で用いる場合には、おおざっぱに「債務者に対する一般的・普通の債権」などと説明しています。

ただ、再生手続を理解する上で、「再生債権」という概念に関する知識は必須です。

そこで、本ページでは、再生債権とは何か、という点について解説していきます。

再生債権の意味の定義・種類

再生債権とは

上記のとおり、再生債権は、おおざっぱに言えば、おおざっぱに「債務者に対する一般的・普通の債権」です。

再生手続開始前に借り入れた消費者金融からの借入金や、クレジットカードによる債務、住宅ローン等がこれに当たります。

再生債権として扱われる場合、当該債権は、再生計画により、元金カットなどの取り扱いを受けます。。

したがって、別の言い方をすれば、再生債権というのは、再生計画により元金カット等の対象となる権利ということもできます。

なお、経済的観点の他には、再生債権の概念は、再生計画における議決権数を画する概念としても機能しています。

参照:個人再生手続における再生計画とは(再生計画案の内容)

再生債権の定義・意味

再生手続開始前の債権は基本的に再生債権となる

gensoku<原則> 再生手続開始前の債権は再生債権となる
再生債権について定めた民事再生法84条1項は、再生債権を次のように定義しています。

「再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権又は一般優先債権であるものを除く)」

この第1項の定義において、まず押さえてもらいたいのは、再生手続開始前に発生した財産上の請求権(債権)は、原則として再生債権になるという点です。まずは、再生手続開始前の債務は基本的には再生債権である、と覚えておけばよいでしょう。

先ほどの消費者金融からの借入金や、クレジットカード債務は再生手続開始前の債務である限り、再生債権になります。

また、住宅ローンも同様に再生債権です。ただ、住宅ローンに関して言えば、再生債権であっても、住宅ローン特別条項により特別な取り扱いをすることが許されています。

親族からの借り入れた場合に親族が債務者に対して有する権利も、再生手続開始前に借り入れが行われている場合には、再生債権になります。

reigai<例外> 共益債権・一般優先債権は別
上記のとおり、再生手続開始前の債務は基本的には再生債権ですが、二つ例外があります。

それは、84条1項のカッコ書きに記載されている通り、その債務が、「共益債権」あるいは「一般優先債権」に該当する場合です。

「共益債権」というのは、再生計画によらず随時弁済を受けられることができる債権です。何が共益債権となるかは、法律で具体的に定められていますが、たとえば

共益債権は、債権者皆の利益になる等の理由から、再生債権あるいは次に述べる一般優先債権よりも強い権利とされています。

また、「一般優先債権」も再生計画によらず随時弁済を受けることができる債権で、税金等がこれに当たります。何が一般優先債権となるのかも法律で定められています。

一般優先債権は、その債権が、民法などの実体法上、そもそも通常の債権よりも強い保護を受けている等の理由から、再生手続においても、再生債権よりも強い権利性が認められています。

この共益債権・一般優先債権についての理解は難しいかもしれませんが、これらの権利の意味や内容についても別途解説する予定ですので、上記のとおり、ここでは、ひとまず、再生手続開始前の債務は基本的には再生債権である、と押さえておいてください。

<追記>
予定通り、共益債権・一般優先債権についての記事を準備いたしましたので追記します。ご参照いただければ幸いです。

・個人再生手続における共益債権とは(共益債権の定義・意味)

・個人再生手続における一般優先債権とは

再生手続開始後の債権は基本的には再生債権にならない

gensoku<原則> 再生手続開始後の債権は原則として再生債権にならない。
上記のとおり、再生手続開始前の債務は基本的には再生債権です。では、再生手続開始後の債権(再生手続開始後に契約をしたことによって発生する債務)は再生債権にならないのでしょうか。


結論を言えば、再生手続開始後の債権は、原則として再生債権にはなりません。

上記に述べたとおり、再生債権は、再生手続において、再生計画により元金カット等の対象となります。

そして、仮に再生手続開始決定後の債権が再生債権になり、元金カットの対象になるとすると、元金カットされることを分かって契約する事業者は通常いませんので、債務者が、再生手続開始後、事実上、誰かと契約することが出来なくなってしまいます。

そこで、再生手続開始後の債権は、基本的に再生債権にはならない、という仕組みが取られています。この点は、再生債権の概念を理解するために重要ですから押さえるようにしてください。

reigai<例外> 再生手続開始の債権が再生債権になる3つの例外
ただし、原則があれば例外もあります。

つまり、民事再生法84条2項は、再生手続開始決定後の債権であっても、次の3つの場合には、例外的に再生債権になると定めています。


一  再生手続開始後の利息の請求権

二  再生手続開始後の不履行による損害賠償及び違約金の請求権

三  再生手続参加の費用の請求権

少し細かい議論ですが、この3つの権利は再生債権として取り扱っても特段の不公平が生じない等の理由から、例外的に、再生手続開始後の債権であっても、再生債権とするとの取り扱いがなされた権利です。

再生債権に関し押さえてほしいこと(まとめ)

matome以上、再生債権の概念に関し、いろいろ述べてきましたが、再生債権の概念は、再生手続のなかでも最も基本的な概念のひとつです。

重要な点ですので、再生債権に関し、再度押さえてほしい点をまとめておきます

① 再生手続開始前の債務は基本的には再生債権である(ただし例外あり)。

② 再生手続開始前の債務は基本的に再生債権ではない(ただし例外あり)。